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暗号通貨市場が約8兆円に下落 最高値圏13兆円から30%下落したいくつかの”複雑”な理由

time 2017/07/12

暗号通貨市場が約8兆円に下落 最高値圏13兆円から30%下落したいくつかの”複雑”な理由

暗号通貨市場が約8兆円に下落 最高値圏13兆円から30%下落したいくつかの”複雑”な理由

暗号通貨市場全体(coinmarketcap.com)の時価総額が30%も下落している。

今年3月頃から上昇し始め、一部では『バブル』と揶揄された暗号通貨/仮想通貨市場は6月に二度、最高値を付け、その”高値”から大きく下落している。最高値時の市場全体の時価総額は1154億ドル(約13兆円)まで膨らんだ。

現在の全体時価総額は788億ドル(約9兆円)。
最高値から4兆円、およそ30%近くの下落を見せている。

2017年上半期、絶好調であった暗号通貨市場が年の折り返しを期にこのような下落を見せている理由をいくつか挙げていきたい。それらの理由を挙げていくことで現状の相場が複雑であることをお伝えしつつ、現状の整理を行いたい。

Global Charts | CoinMarketCap

下落時期と重なったいくつかの”事実”

【下落する理由】としては端的に言えば、Fiat(基軸通貨:ドル、ユーロ、円などの既存法定通貨など)に換えられた、または売られたから、であると言える。

多くの人がそう発言し、感じているように周知の事実ではあるが『なぜ、各暗号通貨が売られたのか?(基軸通貨に変換されたのか?)』を考えるにはいくつかの”事実(理由)”が考えられる。

8月1日を前にビットコインの分裂問題及び「UASF/UAHF」の懸念

昨年から多くの人々が口に出していたBitcoinのスケーラビリティ問題。その解決策としてSegwit8Mサイズ案UASF、が挙げられていたが6月中旬に新たに「UAHF」、「Segwit2x」が提案された。

分裂を免れない『UAHF』

UAHFは、UASFが可決された場合の仕様が変更されなかった側のブロックチェーンを持つBitcoinを受け付けない、というフォーク(分岐)仕様を提案している。つまり、完全なる分裂を意味する。
8月1日までにUASFを受け付けるか否か、を回答する必要があり、その回答を行わなかった場合、ハードフォークが起こる。各取引所はBitcoinの分裂による仕様変更を余儀なくされ、Bitcoinユーザーはその煽りを受ける。

ちなみに、この際にBitcoin保持ユーザーは取引所にBitcoinを保管しない方が良い。なぜならば、取引所の技術次第では保管されているBitcoinが消失してしまう恐れがあるからだ。

Percentage of blocks signalling SegWit support – Blockchain

*グラフはSegwitを支持する%。徐々に上昇してきていることが分かる。

UASF:Segwitをユーザー側の多数決で可決しようという動きのこと。Segwit(可変型のブロックチェーン記録方式)を受け付けなかったブロックチェーンとの互換性を持たせる仕様。

8Mサイズ案:ブロックサイズの上限を8Mサイズに増加する。

Segwit2x:Segwitとマイナー側の多くが賛成している8Mサイズ案との折衷案と言われるが、その具体的な中身は不明。

何が起こるか誰にも分からない

話を元に戻すと、このBitcoin分裂問題の期日8月1日に向かって、暗号通貨全体の市場が大きく下落しているアクションを見せるのは以下のような理由が想定される。

Bitcoinは他暗号通貨(アルトコイン)を基軸通貨に変換する際の橋渡しになる存在。Bitcoinに変換してようやく基軸通貨に変換できる手法が利用できる。Bitcoin分裂問題に嫌気、または懸念した多くの大小様々な投資家、トークンホルダーが基軸通貨に変換する動きが連なり”売りが売りを呼んだ”、と言える。

技術的な面では事前に「分裂した場合、消失する可能性があるから取引所には保管しない方が良い。」や「Bitcoinの新旧トークンが創出され、価値が半減される」などと様々な専門家、投資家が注意喚起をするが実際のところは”起きてみないと誰も何も分からない”。”何が起こるか”を理解できるのは直接的に仕様を変更するエンジニアくらいだが、その内容を即時にシェアできることも難しく、いつ変更が為されるかも不明瞭。

このような不確実性を投資家を含む人々は容認することはできないだろう。そのことからBitcoin分裂問題に端を発する下落は、今回の下落要因の中でも一際大きかったのではないだろうか。

Ethereum – ICOへの懸念 –

Bitcoinのみならず、暗号通貨時価総額第2位のEthereumにも今回の下落の要因は考えられるかもしれない。

6月に行われたEthereumブロックチェーンで企画されたプロジェクトICOの中でも、多くの資金を調達した大型の案件でいくつかの問題が発生している。

Bancor(バンクール)

Ethereumブロックチェーンで構築されたトークンやERC20トークンなどの相互交換やユーザー独自のトークンを作成・展開、取引ができるプラットフォームを提供するプロジェクト。
開始数時間で約170億円近くを調達したが、ICO終了後も値上がりしつつトークンセールが継続されることや配布したトークンBNTに”バックドア”が仕掛けられているなどの話題が溢れてきた。

Status(ステータス)

Ethereumブロックチェーンの分散型モバイルメッセージングプラットフォーム。メッセージング可能なモバイルアプリケーション上でトークンの送信やGnosisと連携した予測市場への参加や分散型保険市場「Ethlance(エスランス)」への参加も可能としている。
ICO前には同プロジェクトコミュニティSlackの参加者が1万人を超えるなど、高い注目度を持ったICOになった。結果としては事前に説明が無かった”上限設定制”となっており、1送信元アドレスに対して受け取り可能なETHトークン量を設定しており、到達した調達額で徐々に制限される上限を減らす、といった方法をICOで行い、多くのユーザーから不満が噴出した。

また、StatusのICOではEthereumネットワークの大規模な遅延が発生し、MyEtherWallet側からもアナウンスされるほどの遅延が発生した。

上記2例のICOは大きく取り上げられたものであり例に出したが、この2例のICOが終了した次の週からEthereumは本格的な下落を始めた。

元々、連日続くEthereumベースのICOへの投資にETHトークンが利用され、その為にETHトークンが相次いで購入され、Ethereumが高騰。その後、Status側からは公式でアナウンスがあったようにICOで集められたETHや各通貨がFiatに変換されたことが大きな価値の下落に繋がっている。


注意1:Status以外のICOを行なった複数のプロジェクトがICOで取得したトークンをFIatに変換しています。「StatusのFiat変換が今回の下落の引き金」とする論調をネット上で多く見かけますがそのような単純な構造ではないと考えます。

取引所・ウォレットへの懸念

各取引所に対する懸念も広がっているようです。

Poloniexを始め、多くの取引所に押し寄せている悪質なハッキング攻撃やユーザーの急増によるサポート問い合わせが増えたことにより取引所の負担が増え、サポートの質が低下している。または取引所自体のトークン取り扱いに信用に対する懸念が広がっているようです。

Poloniexはtrollbox(取引画面上のチャット)を廃止した。また、いくつかの通貨の取り扱いを徐々に廃止する方向でアナウンスを行なっている。

韓国大手取引所Bithumbは先日、ハッキングされ3万人分の顧客データを流出した、ニュースがあった。

取引所単体に対して大きな懸念が寄せられる最大の理由としては、「2段階認証」の利用についてだ。
この問題は2段階認証を行わないユーザーのアカウントに不正アクセスが行われ、口座にある通貨・トークンが持ち出されるという事件が相次いだ。この問題の場合は”取引所がどうか”というよりは、利用しているユーザーの問題とも言われるが結果としては不正アクセスが相次いでいる。しかし、2段階認証を理解していないユーザーからは恐怖感しかないのかもしれない。

取引所だけではなく、ウォレットにも信頼性の懸念は及ぶ。

6月中旬、多くのユーザーに取引されているライトウォレットの決定版とまで言われたJaxxウォレットに40万ドル(約4480万円相当)のハッキング被害があったことが判明した。

『システムの脆弱性を突いたハッキング』だったとのニュースでもあったが「ハッキングされる可能性があるオンライン上に40万ドルもの大金を保管している方がマズい」との声もあった。

注意2:”大金”と考えられる通貨量を所持する方は「ハードウェアウォレット」(TREZORLedgerNanoなど)を利用することを推奨します。

Trezor(トレザー)BTC・DASH・ZEC・ETH系トークンを保管できるハードウェアウォレット。【使用方法を解説】 | コイン総合ニュース

大きな下落が続く暗号通貨市場だが、その中でも投資家、金融機関ではビットコインの反発や数年後の価格まで予測している。

日本のネット、テレビ、新聞など各メディアに高騰、暴落などの値幅をピックアップして取り上げられ出した暗号通貨市場も終わった後の局面で見れば”ただの調整”なのか、暗号通貨市場の今後に注目です。

参照記事

ビットコインは4000ドル付近まで反発する可能性 —— ゴールドマンのチャート分析 | BUSINESS INSIDER JAPAN

ビットコインは10年後に5万ドル到達、ストックピッカーが予想 – Bloomberg